全身性エリテマトーデス(SLE)

 全身性エリテマトーデス(以下SLE)の病態について

膠原病(connective tissue disease)の代表的な疾患である
皮膚、関節、漿膜、心、腎、肺、中枢神経などが、急性及び慢性の症状を繰り返しながら
結合組織を系統的に冒し、ついにはフィブリノイド変性(fibrinoid degenerration)を起こす疾患である

フィブリノイド変性とは血管や結合組織に変性したフィブリンを主体とする
種々の血漿成分よりなる物質が滲み込み形成される変性。
同義語として類線維素変性、線維素様変性、フィブリン様変性。
原因 
    不明である。しかし、遺伝、環境因子、ウイルスなどが複雑に絡み合い、
        免疫異常が起こるのではないかと言われている。
    
    発症のそもそもの原因については、今のところ分かっていない。
    現在の仮説では、複数の遺伝因子と環境因子の双方が関連すると
        考えられており、双生児研究の結果などからは同様の多因子遺伝疾患と考えられる。
     糖尿病や関節リウマチなどと比較すると遺伝因子の影響は強いと思われる。
    
     強い日光への暴露後にSLEを発症したり、
     SLE病勢の増悪が見られる事から、紫外線照射が免疫系に与える影響を
        発症原因の一つと考える説もある    
症状 
    発熱、関節痛、顔面や手指の紅斑、レイノー症状などが発症早期症状として多く、
        関節炎、蝶形紅斑、腎炎、神経(精神)症状、や痙攣などの中枢症状、
    胸膜炎、心膜炎などが主要症状である。

 
  いくつかの他の自己免疫疾患(Autoimmune disease)と同様に、
発生頻度は圧倒的に女性に多く、また若年層に頻発する。
男女比は1:10程度で、またほとんどは15-40歳の子供を産めるような年齢に発症するため、
エストロゲン(Estrogen)などの女性ホルモンの発症への関与が疑われている。
 
 頬から鼻にかけてかかる丘疹状の紅斑である蝶形紅斑は本症に非常に特異的な症状であるが、
感度は高くなく、半分程度である。狼のような外見を呈するというが、
そこまで至る例は稀。そのほか円板状ループス、亜急性皮膚エリテマトーデス、
lupus profundusなどといった皮膚症状が起こりうる
 
 時には、腕から手の指先までもしくは脚から足の指先まで皮膚に浮かぶ血管が網目状になる。
蒼白色になるだけや、知覚鈍麻や疼痛などの症状を示す場合もある。
 秋から冬にかけて、また、春先の冷え込んだ時に多くみられ、重症の場合、
指先の潰瘍や変形を起こすとも稀にある。
 レイノー病(Raynaud)とは、寒冷時や冷水につかったときに四肢末梢部、
とくに両手指が対称的に痛み、しびれ感とともに蒼白、
あるいはチアノーゼ (ドイツ語: Zyanose、英語: cyanosis)
などの虚血症状をきたす場合で、若年女子に多発する。
原因は明らかでない。    
本症の4人に1人にレイノー症はみられる。 
 

主な検査法 
      正球性、生色素性の貧血と白血球の減少、
      特にリンパ球が少なくなっている。
      血漿板も5~10万と減少し、プロトロンビンと
      部分トロンボプラスチン時間が延長する。
      また、抗DNA抗体や抗Sm抗体が陽性、血中免疫複合体が高値、
      血中補体価が低値を示す。

  
    

参考文献
廣川書店 医療薬学(病気と薬)
       疾病と病態

てんかんについて↓
https://www.shinondo.com/2010/11/03/てんかんの病態