てんかんの病態

 てんかん(epiepsy)
 
大脳の神経細胞の過剰発射により全身の痙攣をともなって意識が消失する発作
を繰り返し起こす疾患である。20歳以下で発症が多い。
簡単に言うと、脳の神経細胞の伝達システムに異常が起こり、けいれんなどの発作
がでたり、意識や記憶がなくなるといった症状が、長い間に繰り返し起こる疾患です。

原因
何かの理由で大脳皮質でニューロンが異常放電を起こし、その結果として異常興奮を引き起こす。
意識の変調や運動性活動、感覚性症状、場違いな行動をともない、突発性で短時間の様々な発作
が起こる。
てんかんの発作とは、臨床的に見た発作症状とそれに伴う特徴的な脳波所見を指している。
てんかんは、症状性symptomaticと持続性idiopathicに分類されている。

症状性てんかん:脳内病変を特定することができる器質的のてんかん
持続性てんかん:脳内病変を特定できないもの

誘因
疲労・不安・緊張・生理・予防接種・風邪・精神病薬・酒・点滅する光(TV・ゲーム)
木漏れ日・プールの水面・驚く(突然の音、突然触られる)・読書・書道・暗算
特定の遊び、食事 等

小児てんかんの代表的なてんかん

West症候群(west syndrome)
 小児難治性てんかんの代表。
生後3-12ヶ月ごろの乳児期に限ってみられるてんかんで、満2歳以降の発病は極めてまれとされています。
90%は12ヶ月以内、ピークは4-6ヶ月と言われている。
国際分類では以下の3徴候を持つ
1、特徴的な乳児痙攣(infantile spasms)
2、脳波検査での間歇的なヒプスアリスミア(an interictal EEG pattern termed hypsarrhythmia)
3、精神遅滞(mental retardation)
この痙攣発作は乳幼児の脳に障害を与える事が知られている。

レノックス・ガストー症候群(Lennox-Gastaut syndrome)
 レノックス・ガストー症候群は、複数の型の発作を併せ持つてんかんのひとつで多くは、
2~5歳に多く発症します。強直発作、脱力発作、欠神発作が多くみられ、
ミオクロニー発作、全般性強直間代発作や、ときには部分発作もみられます。
多くの場合、発作頻度は高く薬による発作の抑制も困難で、多くの薬剤が使われたり、
時には蛋白質と炭水化物を極度に制限した高脂質食を用いた ケトン食療法が試みられる
こともあります。
west症候群からレノックス・ガストー症候群に以降することが多く、全身に力が入ったり、
ボーっとするようなことが多くなれば、レノックス・ガストー症候群の発症が疑われます。
また、治療薬で抑制されても、2,3ヶ月経つとまた発症を繰り返す特徴的な症候群です。 

小児欠伸てんかん
 6~7歳をピークとして学童期に発症し、それまでの発達などは正常で、
遺伝的な素因を認める以外には、明らかな異常を伴いません。
ぼーっとしたり動作が止まる発作は頻回にあり、持続時間は5~20秒前後です。
発作は前触れもなく突然始まり、突然終わります。発作のために倒れたりすることはほとんどありません。
過呼吸で誘発されやすい特徴があります。発作時の脳波はかなり特徴的です。
治療薬への反応は良好ですが、時に思春期頃に、全般性強直発作が出現するようになることがあります。
2~3割は思春期までに自然に発作は消失し、7~8割は30歳までに消失します。